「税理士資格を取り、開業することになったんですが、新規開拓ってどうやってやったらいいんですかね…???」
最近、色んな方から営業について相談されることが増えていまして。
特に副業をはじめたり、独立したばかりの方からの相談も多いのです。
初めて営業をする人に断然オススメの方法は、『自分自身の購買体験』を振り返ること。
そして、そこから、
「自分にはどんな営業スタイルが合っているのか?」
を見つけるヒントを探すことです。
購買体験を振り返るときに、やってほしいことが2つあります。
①1つは、「こんな営業をされたら買いたくない」を書き出すこと(反面教師から学ぶ)
②もう1つは、「こんな営業をされたら買いたい」を書き出すこと(理想の営業から学ぶ)
今日は、
②「こんな営業をされたら買いたい」を書き出すこと(理想の営業から学ぶ)
をお伝えします!
ノジマのタナベさん
「自分でものを買うのって勉強になるなぁ」と思う原点となった体験があります。
テレビがアナログから地デジに移行する少し前の頃。
保険営業のコツもつかみ、少しずつ収入も増え始めた我が家では、「そろそろ液晶テレビでも買いたいね」と家族で話していました。
ただ正直、いままで営業で苦しんできた僕は慎重モード。
収入が下がることもあり得るので、「買いたいねー」と話を合わせながらも、“ギリギリまで粘ろう”と考えていました。
とはいえ、迫る地デジ移行。
“早めに情報収集だけでもしておくか”と考えた僕は、家族で近くのノジマ電気へ向かいました。
家族にも「今日は情報収集だけだからね!」と念を押しながら。。。
対応してくれたのはタナベさんという男性店員。
「今日は、どんなテレビがいいか情報収集に来ただけですよ」
と冒頭で釘を差したものの、彼は嫌がる顔1つせず、接客をはじめました。
まずはざっくりとした説明から。
「いまはこんな種類のTVが出ていますよ」
「こういうところを確認してテレビを選んだらいいですよ」
「家族の中で一番テレビを使う人にとって使いやすいテレビを選ぶといいですよ」
その後、いろいろと質問がありました。
「テレビを置く部屋の大きさはどのくらいですか?」
「それなら37型以上がサイズ的に観やすいですね」
「テレビ番組は録画して観ることが多いですか?」
「録画機能が一体化しているテレビと、録画機能が別売りのテレビがあるんです。高齢者の方は、一体型のほうが操作がしやすいと言っていますよ」
「お子さんも自分で録画機能を使うことってありますか?」
「それなら一体型も選択肢として考えたほうが良いかもしれませんね」
グイグイ来るわけでもなく、過剰に親切なわけでもなく、質問と説明を繰り返していくタナベさん。
『我が家にとって、一番合っているテレビを見つけるお手伝いをする』
ただただ、その1つのゴールに向かって一緒に考えてくれていました。
大体の機種が絞れてきた頃、僕は”このあたりからクロージングが始まるんだろう”と思っていました。
しかし、その予想は、このあと完全に裏切られることになります。
「私の見立てでは、○○か△△が、お客様の使い方に合っていると思います」
「ちょっと待っていてくださいね」
と言い残し、売り場から消えるタナベさん。
戻ってくると、
「こちらに今回選んだテレビのメーカー名と型番をメモしておきましたので良かったら…」
「あ、あとこちらがそのパンフレットです」
と言い、資料を渡しました。
「今日はまだ検討のための情報収集の段階ということでしたので、今日のお話が購入される際の参考になれば嬉しいです」
「また分からないことがありましたら、ぜひいらしてください」
そして、あっという間に次のお客様の対応に向かうタナベさん。。。
ものを買うのって楽しい!
”えっ!もう終わり…?”
という言葉が、頭を駆け巡りました。
「残り在庫1個でした」とか「今日買うなら値引きしますよ」とか、そういうセリフが出るものと思っていた僕は、呆気にとられました。
と同時に、タナベさんとの会話が終わってしまうことに、名残惜しさも感じ始めていました。
”せっかく我が家にピッタリのテレビが見つかったんだから、今日買っちゃおうかな…?”
などなど色んな思いを抱えながら、一旦その場を離れて店内を歩きつつ、妻と家族会議を開始。
「いい店員さんだったね」
「ね!ホントに来て良かった。買うつもりじゃなかったけど、今日買おうかなと思ってるんだよね。」
「え!そうなの? それは嬉しいけど、今日買っても大丈夫なの?」
「うん。だって、こんなに満足して買い物できるって、なかなか無いでしょ」
「やっぱり、せっかく高いものを買うなら、楽しく買いたいんだよね」
「次に買いに来た時に、タナベさんが他の店舗に移動してる可能性もあるし。どうせ買うなら、良い接客をしてくれた人の販売成績になるようにしたいんだよね」
と妻を一方的に説得し、その日、無事に地デジ対応テレビをゲットしました!
”ものを買うのって、楽しいな”
”楽しいと、買いたくなるものなんだな”
と思った1日でした。
こんな営業がしたい!
僕自身、ひょんなことから「楽しくものを買う」体験をしましたが、その後の保険営業にも、とても参考になる体験でした。
保険という商品は、ケガや病気、死んだ場面を扱う商品なので、正直、そういった話ばかりになってしまいます。
やっぱりそれでは、お客様も楽しくないと思うのです。
どうしたら、少しでも楽しく、少しでも満足して保険を買ってもらえるのか?
僕なりに、自分がタナベさんの何に満足したのか?を分析してみました。
・タナベさんのこんなところが良かった!
- 最初にざっくりと大枠の説明をしてくれた
- どういう判断基準で商品を選んだら良いか?を分かり易く教えてくれた
- そこから丁寧に質問して、よく話を聞いてくれた
- 僕が話した情報をもとに、我が家に合う商品を一緒に考えてくれた
- 僕の購入タイミングを尊重し、ごり押ししてこなかった
などなど。
全てが参考になることばかりでした。
特に、僕のように販売員やセールスに警戒心の強い人間にとっては、
「自分に合った商品を選ぶための判断基準」
を丁寧に教えてくれて、こちらが「買いたい」と思うまで待ってくれたのが、一番信頼できました。
その後、自分の営業に
「自分に合った保険を選ぶための判断基準」
というトークを加えたことは、言うまでもありません。
まとめ
営業を初めてやる方でも、営業を受けてものやサービスを買った体験はあるはずです。
特に、「今日は買わないよ」と思いながら行ったお店で、店員の説明を受けているうちに買った経験は、大きなヒントになります。
少なくとも、”もし自分がお客様だったら、こんな営業から買いたい”というレベルに自分の営業スタイルを近づけられると、営業に自信が持てるはずです。
ぜひ理想の営業に出会って、「こんな営業だったら買いたい!」というスタイルを見つけましょう。
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「お客様に納得して歓んで買ってもらう営業法」
をマスターすることができます。
ぜひお手に取って、ご覧になってみてください。
・独立して自分で営業をすることになった税理士など士業の方
・コンサルタント、コーチ、講師業など、いわゆる「先生業」の方